2013年6月1日土曜日

太宰治『人間失格』を読んだ


太宰治の“あの”人間失格を読んだ。

Google bookの無料図書で目に付いたので、読んでみた。

「読んでみた」と言っておいて、すぐに否定するのも恐縮だが、

読み進めるうちに、以前にも読んでいたことに気付いたので、

正確には「読み返した」が正しい。

思い出してみると、実は中学生の頃にこの辺りの本を読み漁っていたのだ。

そして、当時は単にストーリーだけを追っていて、太宰が何を伝えたかったのかを、

まるで想像もしていなかったことに気付いた。

まぁでも恐らくは、想像しても当時の自分にはまるっきり

分からなかっただろう。

今回感じたことは、自分はこの主人公と類似の心の闇を持っているし、

また数多の人達も同様に持っているだろう。ということ。

人として生まれて、社会で暮らすすべての人が、多かれ少なかれ

思い感じていることを、主人公をつかって代弁している。

そしてまた、この主人公を取り巻く登場人物をして、

私たちの日常に於ける矛盾と、その矛盾に対する黙殺。

又は、心による否定を表しているんだ。

そんな感想を持った。

この主人公に降りかかった災難は、それほど特殊なことではなく、

ある環境と条件の一致によって、誰にでも起こることであり、

誰でもそこへ落ちてゆける心の素質を持っているんだと思った。