太宰治の“あの”人間失格を読んだ。
Google bookの無料図書で目に付いたので、読んでみた。
「読んでみた」と言っておいて、すぐに否定するのも恐縮だが、
読み進めるうちに、以前にも読んでいたことに気付いたので、
正確には「読み返した」が正しい。
思い出してみると、実は中学生の頃にこの辺りの本を読み漁っていたのだ。
そして、当時は単にストーリーだけを追っていて、太宰が何を伝えたかったのかを、
まるで想像もしていなかったことに気付いた。
まぁでも恐らくは、想像しても当時の自分にはまるっきり
分からなかっただろう。
今回感じたことは、自分はこの主人公と類似の心の闇を持っているし、
また数多の人達も同様に持っているだろう。ということ。
人として生まれて、社会で暮らすすべての人が、多かれ少なかれ
思い感じていることを、主人公をつかって代弁している。
そしてまた、この主人公を取り巻く登場人物をして、
私たちの日常に於ける矛盾と、その矛盾に対する黙殺。
又は、心による否定を表しているんだ。
そんな感想を持った。
この主人公に降りかかった災難は、それほど特殊なことではなく、
ある環境と条件の一致によって、誰にでも起こることであり、
誰でもそこへ落ちてゆける心の素質を持っているんだと思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿